国立社会保障・人口問題研究所(社人研)が実施した「第17回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」の結果が公表されました。18〜34歳の未婚男女のうち「一生結婚するつもりはない」と答えた人は、男性24.0%、女性21.5%と、男女とも初めて2割を超え、過去最高を更新しています。理想の子ども数も初めて2人を下回るなど、複数の指標が過去最高・最低を更新しました。何が分かり、どう受け止めればいいのかを、過去の調査との比較・数字の中身・私たちにとっての意味という3つの角度から整理します。
初めて2割を超えた「非婚意向」の中身
- 「一生結婚するつもりはない」は男性24.0%・女性21.5%で、男女とも過去最高、初の2割超え
- 「いずれ結婚するつもり」は男性75.1%・女性77.8%で、初めて8割を下回った
- 結婚に「利点がある」と答えた割合も男女とも前回調査から低下している
- 夫婦が持つ「理想の子どもの数」は2.18人、実際に「持つつもりの子どもの数」は1.95人で、こちらも初めて2人を下回った
- 子どもを望む数が理想より少ない理由としては「子育てや教育にお金がかかりすぎる」(52.9%)が最も多く挙げられている
「出生動向基本調査」とは何か
出生動向基本調査は、社人研が概ね5年に一度実施している調査で、正式名称は「結婚と出産に関する全国調査」といいます。全国から無作為に抽出した調査地区に住む、妻が55歳未満の夫婦(対象者本人は妻)と、18〜55歳の独身男女を対象に、結婚・出産・子育てをめぐる意識や実態を尋ねるものです。今回は2025年に実施された第17回調査にあたり、前回の第16回調査(2021年6月実施)と比較する形で、この5年間の変化を読み取ることができます。国の少子化対策の基礎資料としても使われる、影響力の大きい調査です。調査は無作為抽出という方法を採るため、特定の意見を持つ人だけが回答するアンケートとは異なり、統計的に日本全体の傾向を推定できる設計になっている点も、この調査が長年重視されてきた理由の一つです。
10年で進む「結婚しないつもり」の増加
「一生結婚するつもりはない」と答える人の割合は、過去2回の調査だけを見ても急激に上昇しています。前回の第16回調査(2021年実施)では男性17.3%、女性14.6%でしたが、今回の第17回調査(2025年実施)では男性24.0%、女性21.5%となり、5年間で男性は6.7ポイント、女性は6.9ポイントという大きな上昇幅を記録しました。
「いずれ結婚するつもり」という回答も、2015年の第15回調査で男性85.7%・女性89.3%、2021年の第16回調査で男性81.4%・女性84.3%、そして今回2025年の第17回調査で男性75.1%・女性77.8%と、3回連続で低下を続けています。10年間で見ると、男性は10.6ポイント、女性は11.5ポイントの低下です。この10年間、右肩下がりの傾向が一貫して続いていることが、今回のデータからも裏付けられました。
子どもの数についても同様の傾向が見られます。日本経済新聞の報道によれば、夫婦が理想とする子どもの数は2.18人で前回調査から0.07人減少し、実際に持つつもりの子どもの数は1.95人と、初めて2人を下回りました。特に結婚から間もない夫婦(結婚後0〜4年)では、理想・予定ともにすでに2人を下回っているとされ、若い世代ほどこの傾向が強く出ていることがうかがえます。
| 項目 | 第15回(2015年) | 第16回(2021年) | 第17回(2025年) |
|---|---|---|---|
| 一生結婚するつもりはない(男性) | ― | 17.3% | 24.0% |
| 一生結婚するつもりはない(女性) | ― | 14.6% | 21.5% |
| いずれ結婚するつもり(男性) | 85.7% | 81.4% | 75.1% |
| いずれ結婚するつもり(女性) | 89.3% | 84.3% | 77.8% |
さらに第17回調査では、結婚に「利点がある」と答えた割合が男性56.3%・女性63.4%(ともに前回より低下)、夫婦が持つ「理想の子どもの数」が2.18人(前回比0.07人減)、「予定の子どもの数」が1.95人(初めて2人を下回る)という結果も出ています。
子どもを持たない・少なくする理由(複数回答)としては、「子育てや教育にお金がかかりすぎる」が52.9%で最多、「高年齢で出産するのは嫌だ」が35.0%、「これ以上、育児の心理的、肉体的負担に耐えられない」が27.8%と続いています。経済的な負担が依然として最大の要因として挙げられている点は、少子化対策を考えるうえでも重要な手がかりです。
ここで注目したいのは、「理想の子どもの数」(2.18人)と「実際に持つつもりの子どもの数」(1.95人)の間に、0.23人分の差があることです。この差は、夫婦が本音では「本当はもう少し子どもが欲しい」と考えながらも、経済的な事情や育児の負担感から、実際にはそれより少ない人数にとどめようとしていることを示しています。理想の数字だけを見ていると実態を見誤る可能性があり、この「理想と予定のギャップ」こそが、少子化対策を考えるうえで本質的な部分だといえます。
個人の選択を評価するものではない
子育て世代・これから結婚を考える人にとって:この調査結果は、あくまで全国の傾向を示す統計であり、個人の選択を否定したり評価したりするものではありません。「結婚するかどうか」「子どもを何人持つか」は個人の自由な選択であり、調査結果はその選択の背景にある社会的な傾向を映し出しているに過ぎません。「自分だけが特殊なのではないか」と感じている人にとっては、同じような考えを持つ人が社会全体で増えているという事実そのものが、一つの参考情報になるかもしれません。
政策立案に関わる人にとって:「子育てや教育にお金がかかりすぎる」という回答が最多だったことは、経済的支援策の設計において重要な材料になります。本サイトで先日取り上げた最低賃金の引き上げや、大学院生への経済支援策なども、間接的にはこうした「経済的負担感」に関わる政策の一部です。ただし、今回の調査結果だけから「お金の問題さえ解決すれば結婚・出産が増える」と単純に結論づけることはできません。調査では経済的理由以外にも、高年齢での出産への抵抗感や、育児の心理的・肉体的負担感など、複数の要因が挙げられており、原因は一つに絞れるものではないためです。
社会全体にとって:婚姻数・出生数の減少は、将来の労働力人口や社会保障制度の設計に長期的な影響を及ぼすテーマです。今回の調査結果は、そうした議論の土台となる基礎データの一つです。年金や医療といった社会保障制度の多くは、現役世代が高齢世代を支える仕組みを前提にしているため、結婚・出産をめぐる意識の変化は、回りまわって現役世代自身の将来にも関わってくる問題です。
次回調査でこの傾向は続くか
確定していること:第17回出生動向基本調査の結果として、上記の数値が国立社会保障・人口問題研究所によって公表されたことは確定した事実です。
まだ確定していないこと:この調査結果を受けて政府がどのような政策的対応を取るか、また次回(次の5年後)の調査でこの傾向がさらに進むのか、あるいは変化が見られるのかは、2026年9月12日時点では分かりません。今回の結果は現状把握のためのデータであり、将来の予測を示すものではない点には注意が必要です。
よくある質問
Q. この調査はどのくらいの頻度で行われている?
A. 社人研(国立社会保障・人口問題研究所)が概ね5年に一度実施しています。前回は2021年(第16回)、今回が2025年実施の第17回です。
Q. 「一生結婚するつもりはない」と答えた人は、実際に一生結婚しないのか?
A. この調査はあくまで調査時点での意識を尋ねたものであり、将来の行動を確定的に示すものではありません。
Q. 少子化対策として何が効果的とされている?
A. 本記事の情報源となっている調査結果自体は現状把握のためのデータであり、「何が効果的か」という政策的な結論までは示していません。子育て・教育費の負担感が最多の理由として挙がっている、という事実は確認できています。
Q. 次の調査はいつ?
A. 概ね5年に一度実施されているため次回は2030年前後になるとみられますが、正式な実施時期は本記事の情報源では示されていません。
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※この記事は2026年9月12日時点で確認できた情報に基づいています。この調査結果を踏まえた政府の政策的対応が発表され次第、追記する予定です。
情報源
- https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA079VD0X00C26A9000000/
- https://news.yahoo.co.jp/articles/b7da1e4df08a6a55589509562f0e990b4a0e4a72
- https://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/nfs17info/index.html
- https://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou16/JNFS16gaiyo.pdf
- https://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou15/doukou15_gaiyo.asp




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